
- 堆肥を入れたほうが良いといわれたが、良い理由や効果がわからない
- なんとなく堆肥は入れているが、種類や使用目的がいまひとつ
堆肥には、土壌改良効果と肥料効果があります。土壌改良効果とは土をふかふかにして、
根の生長を良くしてくれる効果です。肥料効果はもちろん野菜の成長を良くしてくれます。
- 堆肥を使うと土はふかふかになり、根の張りがよくなること
- 堆肥には、土壌改良効果型と肥料効果型の2つがあること
- 堆肥の種類と使い方
積雪の多い東北南部で20年以上、100坪程度の家庭菜園をやってきたおじさんの経験から、堆肥の基本について解説をしています。
堆肥は土壌の環境改善をする効果があり、野菜にとっては必要不可欠なもの。
なんとなく使用していた堆肥の種類や使用目的など、基本的なことを知ることができ、
そこから具体的に実行ができるようになります。
― 目 次 ―
1.堆肥とは、動植物の有機物を微生物の力で発酵させた資材
落ち葉、モミガラ、稲ワラ、家畜のふん尿、野菜くず、これらの有機物を微生物の力を借りて分解させ、発酵処理をしたものが堆肥。
堆肥処理施設では糸状菌(カビ)、納豆菌、乳酸菌、放線菌など、目に見えない微生物が、エサとして有機物を食べることで分解が進みます。
さらに、発酵温度の管理や細菌検査を通じ作物に障害を起こさないことを確認したうえで堆肥となり、作業工程の長い堆肥は6ヶ月以上をかけて完熟堆肥として仕上げます。
微生物の働きで、有機物を栄養のあるものに分解することで良い土ができ、作物の成長を促進する資材となります。作物の成長は根が中心、根が伸びることで地上部が育ちます。
根に欠かせない、空気、水、養分の供給がしっかりとできるような土の環境を作りあげる、その大切な役割をしているのが堆肥です。
2.堆肥は、土をふかふかにして、根の生長を促し、作物の生育を順調にします
堆肥を入れると土がふかふかになり、根が自在に生長することで作物の生育が保たれます。
なぜならば、土の中の微生物が堆肥に含まれる有機物をエサにして繁殖し、土の環境改善をしてくれるからです。
堆肥を入れることの主な効果は
- 土壌微生物が住みやすい環境をつくる
- 土をふかふかにする (通気性、水はけ、保水性、保肥力がよくなります)
- 病害虫に強くなる、
土の中に微生物がいなければ、土の中の有機物は分解されず、土壌としての環境改善はできません。
すべては微生物の力によるものです。
堆肥は、微生物にエサを与えること、堆肥を入れることで有機物も微生物も増え、土がふかふかとやわらかくなる環境が整います。
土がふかふかとやわらかくなることで、空気が入り通気性がよくなる、水はけ、保水性もよくなります。
肥料の保持能力も長くなり、与えた肥料養分を少しずつ野菜に供給し、より良い生育環境が生まれます。
硬くて土の中の空気が不足すると、根は酸素欠乏をおこしてしまい根腐れの原因となります。
堆肥を入れないと土はどうなるのか
- 有機物が不足し、微生物が住みにくい環境ができることで土が硬くなってしまう
- 土が硬くなり、通気性,水はけ、保水性、保肥力が悪くなる
- 酸素が行きわたらず作物の根が伸びにくくなる
- 病原菌が発生しやすくなり、作物の生育が悪くなる
堆肥を長年入れていないと土が硬くなります。乾燥したりすると地割れが起きやすいです。
なぜならば、土の中の有機物が不足しており、有機物がなければ微生物は活動できません。
土はやせて硬くなり、だんだんと作物にとって生育しにくい環境になっていきます。
土の中の微生物は、有機物を食べる(分解する)、その結果、土がやわらかくなり作物に必要な養分を保持することができます。
微生物の働きが土の良い環境をつくりだす、堆肥が土作りに欠かせない理由です。
ただし、堆肥を入れたからといって直ぐにふかふかした土にはなりません。
継続すること、3年程度入れ続けなければなりません。
入れ続けることで、確実に土のやわらかさに気がつきます。


3.堆肥の種類と使い方、原料によって使用目的と効果に違い
堆肥は原料によって動物質堆肥と植物質堆肥に、使用も土壌改良効果と肥料効果を目的とした堆肥に分類されます。

動物質堆肥、植物質堆肥とは
- 動物質堆肥は、原料が家畜のふん尿を堆肥化させたもの、牛ふん、豚ふん、鶏ふん堆肥など
- 植物質堆肥とは、原料が落ち葉、オガクズ、稲ワラ、モミガラなど
- 動物質堆肥は、チッソ、リンサン、カリなどの栄養分を多く含むため、肥料効果が高い
- 植物質堆肥は、繊維分を多く含むため、土壌改良効果が高く土がふかふかになる
堆肥の種類と使い方について
(1)鶏ふん堆肥 (動物質堆肥 ➡ 肥料効果が高い)
- 鶏は、トウモロコシなど栄養価の高い飼料を食べており、牛ふんに比べて栄養分が高く、肥料成分を多く含んでいる
- 根や葉の生長においては化学肥料と同じ程度の肥料効果が望める
- 土をふかふかにしてくれる効果はほとんどない
ホウレンソウ、コマツナなどの葉物野菜は生育期間が短いので元肥としても適している。ナスやオクラなど、生育期間の長いものは元肥だけでなく追肥としても使用できる。
てっとり早く使えますが、入れすぎないよう袋に記載されている使用量(施肥量)は守ること。
(2)牛ふん堆肥 (動物質堆肥 ➡ 土壌改良効果の方が高い)
- 牛は、ほし草やワラなど、栄養分は低いですが植物質を多く食べている
- 牛ふん堆肥は、鶏ふん堆肥のような肥料効果はない
- ふんには植物質の繊維分が多く含まれており、土をふかふかにしてくれる土壌改良効果が高い
- すべての野菜の元肥として使用できるが追肥には向かない、元肥は牛ふん、追肥は有機肥料や化成肥料とセットで使用する
(3)豚ぷん堆肥 (動物質堆肥 ➡ 肥料効果)
- 豚のふんにオガクズ等を入れたもの、穀類や油かすなど栄養分の高い飼料を食べている
- 鶏ふんと牛ふんの中間ぐらいの性質で、肥料分を比較的多く含む、土壌改良効果はさほど期待はできない
- 野菜の元肥などに適している、肥料の効果が長く続くため、果実栽培などに適している
(4)腐葉土堆肥 (植物質堆肥 ➡ 土壌改良効果高い)
- コナラ、クヌギ、ケヤキ、カエデなど落葉広葉樹の落ち葉を6ヶ月以上じっくりと堆肥化した
(5)バーク堆肥 (植物質堆肥 ➡ 土壌改良効果高い)
- バークとは樹皮のこと、広葉樹、針葉樹の樹木の皮を粉砕し、発酵させた堆肥
(4)腐葉土堆肥、(5)バーク堆肥、これらは原料に違いがあるが、それ以外は大きな差はない
- 土をふかふかにしてくれる土壌改良効果の高い堆肥
- 通気性、水はけ、保水性、保肥力がよくなる
- 栄養分は少なく、肥料成分はほとんどない
土作りの効果が高いので、肥料とセットで使用すれば土作りに大きな効果があります。
肥料分が少ないことから使用量が多めになってもあまり問題はありません。
ただし、袋などに記載されている使用量は守るようにすること。
堆肥の袋詰めは「完熟」とか、「熟成牛ふん」、熟成と書いてある方を選ぶこと。
完熟していない堆肥、半生で水分の残る堆肥は生育障害が発生する場合がある。
できれば1か月前ぐらいから土に入れ軽く耕しておくと分解を促してくれる。
半熟のままで苗の植え付けなどをすると生育不良につながる。
4.堆肥使い方について、私の具体例
堆肥の使い方は、土壌改良に使うのか、肥料として使うのか、ここがポイントです。
土壌改良を意識するのであれば牛ふん堆肥、肥料としての使用を主にしたいのであれば乾燥鶏ふん、発酵鶏ふんがおすすめです。
私の場合は牛ふん堆肥のみの使用です。
必ずしも使用目的を明確意識して使い続けてきたわけではありません。畑の周囲に合わせてきただけです。結果的には野菜の生育にとって良い方向にでているだけのことだと思います。
私の東側の畑は鶏ふん袋詰めが主、西側の畑は牛ふん袋詰めと鶏ふん袋詰めを使用しており、収獲した野菜は大きさや重さのバラツキが大きいという印象です。
たぶん、東側の畑は肥料としての発酵鶏ふんが主で、畑は硬いようです。
西側の畑は、牛ふん堆肥の袋詰めと鶏ふん堆肥の袋詰めです。畝に入れる堆肥の量が少なすぎ、肥料の元肥も追肥もパラパラ、畑の土もゴロゴロとして硬いです。
私と両側の畑の大きな違いは、袋詰め堆肥ではない畜産会社から堆肥を直接購入していること、堆肥を入れたならば管理機などで丁寧に耕していることです。
このことが土に対してよい効果を生み、地力の違いになっているのではという理解です。
堆肥の購入のしかたについて
一般的にはホームセンターから袋詰めの購入が多いです。
100坪程度の畑であれば、近くの畜産農家や堆肥販売会社から2トンダンプ1台5,000円程度で畑まで運搬してもらうのが一般的。
私は、近くに3,000頭の乳牛をあつかう会社があり、そこから自分の軽トラックで運搬します。
軽トラック荷台にホイルローダーで山盛り1台につき1,000円でしたが、2023年から1,500円に値上がりしました。
軽トラックが走る時の堆肥の重さで、完熟堆肥なのか水分が重い堆肥なのか自分なりにわかり、この重さで品質確認をしています。
堆肥の購入先については、インターネットの検索で「市町村名+堆肥供給者リスト」で検索すると地元の畜産農家、たい肥センターの名称や住所、連絡先が記載されています。
農林水産省のサイトに、都道府県別の堆肥供給者リスト掲載先一覧等のPDFファイル参照もできます。
詳しいリンクはこちらからどうぞ。


堆肥の使い方について
私を含め周囲の皆さんも、使い方についてさほど意識はしていないというのが実感です。
経験的に作業の一環で堆肥を入れているのがほとんど。春の畑仕事の前に、全面に堆肥を撒き散らしてトラクターなどで耕す。年1回だけで終わりの人が多いです。
私は、全面撒き散らしはもったいないので、5月と8月秋野菜の畝作りのときに堆肥を入れます。
石灰散布後2週間程度間をあけてから、畝作りの時に牛ふん堆肥、元肥としての化成肥料や有機肥料と一緒にして畝たてをします。
家庭菜園での堆肥は袋詰め堆肥でも十分です。袋詰めは貴重品ですから、畝の中央に沿って少しずつ撒くだけでよいです。できるだけ完熟堆肥を。
撒いたならば、それなりに耕してください。


堆肥の使用量(施肥量)、購入時の注意点などは下記の関連記事を参考にしてください。
5.まとめ
- 堆肥を土に入れないと土は硬くなってしまい、根の生長が悪くなります
- 堆肥を入れ耕すことで土はふかふかになり、野菜の生育がよくなります
- 堆肥には動物質堆肥と植物質堆肥があり、動物質堆肥は肥料効果が大きいです、ただし、牛ふん堆肥は土をふかふかにする効果が高いです
- 植物質堆肥は繊維分が多く含まれており、土をふかふかにしてくれる効果が大きいです
- 堆肥は土の環境改善をする効果があり、野菜にとっては必要不可欠なものです
ご訪問いただき有難うございました。