
- 農薬は薄めに使ったほうが安全では、でも効果がいまひとつ ?
- 少し濃くすれば、もっとよく効くのでは、 ?
- 農薬散布はカンと経験、でも守るべき基準を知っていますか ?
- 農薬ラベルを確認して、その内容に従って作業をしていますか ?
農薬の種類によって同じ計量スプーンでも入る重さ(g)が異なる(比重が違う)、同じスプーンで希釈をすると大きな誤差が出る場合がある。考えもしませんでした、皆さんは ? この記事を読んでいただくことで、
- 農薬ラベルの役割と確認すべきポイント
- ラベルの内容を守ることがなぜ重要なのか
- 濃い農薬、薄い農薬、計量ミスや希釈倍数の注意点とは
- 希釈倍数を正確に守るには電子計量スプーンがおすすめ
積雪の多い東北南部で20年以上、100坪程度の家庭菜園をやってきたおじさんの経験から、基本の基を解説しています。私のいちばんの失敗談は、同じ計量スプーンで量っても、薬剤によって重さは大きく異なることに気づきませんでした。効果はいま一つだったかも。
この記事では、農薬ラベルの役割と確認すべきポイント、ラベルを守ることがなぜ重要なのかを分かりやすく解説します。また、家庭菜園で起こりやすい計量ミスや希釈倍数の注意点についても、実際の経験を交えながら紹介しています。
農薬散布で失敗しないための第一歩は、散布前に農薬ラベルを確認し、その内容を正しく守ること。これらについて知っていただくことで、今までのやり方でよいのかどうかが判るようになり、正しい農薬散布作業が迷わずできるようになります。
― 目 次 ―
1.農薬ラベルとは必ず守るべき決まり事を記載したもの
家庭菜園の農薬散布で最も大切なことは、農薬ラベルを確認し、その内容を守ることです。なぜならば、ラベルには農薬の効果を十分に発揮し、安全に使用するためのルールが記載されているからです。
農薬ラベルは「農薬の使い方を書いたルールブック」であり、使用者が守るべき使用基準そのもの。ラベルには必ず守らなければならない使用基準(ルール)が記載されています。
農薬取締法に基づき、散布する人が安全かつ効果的に使用するためのルール(決まり事)が書かれた重要な情報です。単なる説明書ではありません。
農薬メーカーは、人や動物、作物、環境に対する安全性と、病害虫に対する効果に対して十分な試験を行い、データを農林水産省に提出し、適正かつ安全であると認められた物質にたいしてのみ「農薬登録」が与えられます。
その登録の内容を記載したものが農薬ラベルです。農薬ラベルは、容器や袋に貼られ表示されます。
出典 : 「農薬を正しく使って確かな収穫」 クロップライフジャパン
農薬ラベルに記載されている情報の読み方・使い方と、適用作物情報の確認の仕方について説明しています。
2.なぜ農薬ラベルを確認する必要があるのか
農薬の効果は、「正しい農薬を、正しい方法で、正しい量だけ使ったとき」に初めて発揮されます。その「正しい方法」が書かれているのが農薬ラベルです。
ラベルの内容は、効果・安全・法律のすべての基準につながっています。したがって、まずラベルを確認し、その内容に従って使用すること。これがすべての農薬散布の出発点であり、最も重要な基本といえます。
(1)効果を発揮するため希釈倍数や散布量が適切でなければ、病害虫や病気を十分に防除できない。
(2)薬害を防ぐために濃すぎる散布や使用時期の誤りは、葉や果実を傷める原因になる。
(3)農産物の安全を守るため使用回数や収穫前日数を守ることで、農薬が適切に管理された農産物になる。
(4)使用者や周囲の安全を守るため防護具や使用上の注意が記載されており、安全な取り扱いにつながる。
(5)法律で定められた使用基準だからラベルは単なる説明書ではなく、農薬取締法に基づく使用基準が示されています。
3.ラベルには、薬剤の使用基準、守るべき決まりが書いてある
ラベルには、使用基準としての数値や使用ルール、守るべき決まりが書いてあり、ラベルを確認して、その内容に従って使用することが最も重要です。
主な内容は、有効成分や安全性を記した特長、適用病害虫名と使用方法、効果・薬害・保管上の注意等、使用上の注意事項です。
なかでも適用病害虫名と使用方法は、間違えたり違反すれば、プロの農家であれば出荷停止につながります。もちろん家庭菜園でも守るべきことは当然です。下記は主な記載項目です。
(1)使用できる作物農薬ごとに使用できる作物が決められています。トマトに使える農薬でも、キュウリには使用できない場合があります。
(2)対象となる病害虫農薬にはそれぞれ得意な病気や害虫があります。対象外の病害虫に散布しても十分な効果は期待できません。
(3)希釈倍数希釈倍数とは、農薬の濃さ(濃度)を決める数字です。作物に付着する有効成分量を適正な範囲にするための基準であり、勝手に濃くしたり薄くしたりしてはいけません。
(4)散布液量散布液量とは、作物全体に薬液をどの程度かけるかという基準です。少なすぎると付着不足、多すぎると流亡や薬害の原因になるため、適正な散布量が重要です。
(5)使用時期(収穫前日数)「収穫前日まで」「収穫7日前まで」などの表示があります。これは収穫する何日前まで使用できるかを示しています。
(6)使用回数同じ農薬を何回まで使用できるかが定められています。
収穫前日数や使用回数を守らないと、農薬が基準以上に残留する可能性があり、しっかりと守ることが重要です。


4.ラベルを守らないと、本来の効果と安全性は得られない
農薬散布の本質は、作物に必要な量の有効成分をムラなく均一に付着させることです。ラベルは、その状態を安全かつ確実に実現するために定められています。
なぜラベルの内容を守らなければならないのか。
「この使い方なら効果があり、安全である」と確認された条件がラベルの内容です。
どんなに良い農薬でも、ラベルを守らなければ効果不足・薬害・残留問題につながります。守ることで農薬ほんらいの効果を安全に発揮できます。
5.希釈倍数(薬剤の濃度)は、自由に変えてよい数字ではない
ここからは、ラベルの中でも特にカン違いしやすい「希釈倍数」について解説します。
希釈倍数は、効果を高めるために自由に変えてよい数字ではなく、ラベルで定められた有効成分濃度を守るための基準です。なぜならば、法律上は「ここまでなら大丈夫」という許容誤差は定められていません。つまり、ラベルどおりに調製することが原則です。
実際の家庭菜園では、計量器にも多少の誤差があります。家庭菜園では、農薬をぴったり0.01g単位で量る必要はありません。しかし、ラベルの2倍、半分など大きく外れた濃度で使用してはいけません。効果を高めるためではなく、薬害や安全性の問題につながるため避けるべきです。
農薬を散布して出荷する際は、「農薬取締法」に基づく使用基準(収穫前日数・使用回数など)の遵守と、散布記録の作成・保管が義務付けられています。さらには、出荷先(JAや市場、直売所など)の指定フォーマットに従い、農薬散布記録を含む生産履歴を提出します。
プロの農家さんにとっては、安心安全の確保、そのための管理はたいへん重要です。一方家庭菜園は自分が食べるため(自家消費・自己消費)の作物ではありますが、農薬を使用する場合は「農薬取締法」に定められた使用基準を厳格に守る必要があります。
ここのところは押さえておく必要があります。
6.希釈倍数失敗談、同じ計量スプーンでも薬剤によって重さは大きく異なる
希釈倍数とは、農薬の濃さを決める数字であり重要な基準です。大事なことは、使用している計量スプーンで実際に電子はかりを使用して何g入るのかを確認しておき、その値をメモしておくのが最も確実な方法です。
水に希釈して使用する粉末タイプの水和剤や水溶剤は、粒子そのものの比重ではなく、かさ密度(見掛け密度)です。これは、粒子と粒子の間の空気も含めた見かけの重さです。計量スプーンで量るときに効いてくるのはかさ密度です。
下の表は、我が家の2g、3g、6gの計量スプーンで3種類の薬剤を計量したものを、タニタデジタルクッキングスケールでg数を実測したものです。



結果から分かることは、モスピランでは6gのスプーンで約3g、Zボルドーでは同じスプーンで約2gとなり、薬剤によって実測値が大きく異なるということです。
このような誤差が積み重なると、ラベルで定められた希釈倍数から大きく外れ、薬害や効果不足の原因になることがあります。そのため、自分が使用する計量スプーンで、実際にその農薬を量り、電子はかりで何g入るのかを一度確認しておくことが大切です。一度確認しておけば、その後の薬液調製をより正確に行うことができます。
「計量スプーンだけを信用せず、一度は電子はかりで実測する」家庭菜園で失敗しない農薬散布の基本です。
こういう私も、最初のうちは気が付きませんでした。液体の薬剤を除いて、同じスプーンで計量しており、この違いにはびっくりしてしまいました。必ず確認をしておいたほうが良いです。重さが多くなることは少ないですが、不足することが多くなり効果半減につながります。


7.希釈倍数を正確に守るには電子計量スプーンがおすすめ
農薬ラベルに記載された希釈倍数を守るためには、農薬をできるだけ正確に計量することが大切です。
粉剤や水和剤は、通常の計量スプーン(大さじ・小さじ)だけでは誤差が生じることがあります。同じスプーンで計量しても、農薬の種類(かさ密度)によって入る重さ(g)が異なるためです。
そこでおすすめなのが、電子計量スプーン(デジタルスプーンスケール)です。農薬をすくいながら重さをグラム単位で確認できるため、ラベルどおりの薬量が量りやすいです。
家庭菜園では5gや10gなど少量を計量することが多いため、計量精度が高まることで、希釈倍数の間違いを防ぐことにもつながります。
農薬散布の基本は、ラベルに記載された薬量を正確に量り、正しい希釈倍数で薬液を調製すること。デジタルスプーンスケールは、その基本を実践するための便利な道具といえます。


[ 電子計量スプーン ドリテック(dretec) PS-032RD 0.3~75g以下での精度 ±0.2g ]
8.まとめ
家庭菜園で農薬を安全かつ効果的に使用するために最も大切なことは、農薬ラベルを確認し、その内容を守って使用することです。
- 農薬ラベルには、使用できる作物や対象となる病害虫、希釈倍数、散布液量、使用時期、使用回数など、農薬の効果と安全性を確保するために守るべき使用基準が記載されています。
- これらは、十分な試験によって「この条件なら効果があり、安全に使用できる」と確認された内容です。
- 特に希釈倍数は、農薬の濃さを決める重要な基準であり、自己判断で濃くしたり薄くしたりしてはいけません。また、粉剤や水和剤は農薬によってかさ密度が異なるため、同じ計量スプーンでも実際の重さは変わります。
- 一度は電子はかりで実測し、自分が使う計量スプーンで何g入るのかを確認しておくと、より正確に薬液を調製できます。
家庭菜園だから多少違っても大丈夫、ということはありません。農薬本来の効果を十分に発揮し、安全な野菜づくりを続けるためにも、まずは農薬ラベルを確認し、その内容を正しく守ることを習慣にすべきです。
ご訪問いただきありがとうございました。










