家庭菜園、石灰の適切な使い方、入れるタイミングや使用量がポイント

家庭菜園の石灰について、こんな疑問を持っておりませんか ?

  • 畑いちめん真っ白に石灰をまいたけども、このままでよいのかな
  • 石灰と堆肥と化成肥料、同時にいっしょにまいたけども、大丈夫かな
  • 石灰散布の正しいやりかた、あるのかどうか知りたいが
  

石灰は、「野菜を植える前にとりあえずまいておこう」とか、せいぜい「土が酸性だとまずいのでとりあえず散布しておこう」皆さんこんな感じで散布していませんか。

石灰は、酸性に傾ている畑の土を中和し、野菜が育つための環境づくりがねらいです。使用する石灰は何がいいのかとか、散布する量はどの程度がよいのか、注意すべき点など、なにかと知らないことがあるのでは。

ここでは、

  • 石灰を使用する目的とは何なのか
  • 苦度石灰と堆肥と化成肥料、同時にいっしょにまいても大丈夫
  • 石灰の種類は何を使うのか、使用時の注意点はなにか
  私の具体例を説明しています。

積雪の多い東北南部、100坪程度、20年以上家庭菜園をやってきたおじさんの経験です。石灰の種類は多いです、使い方を間違えるとたいへんです。この記事を読んでいただければ、正しい使い方が分かります。

難しく考えずに使用してみてください。きっと大きな美味しい野菜が育ちますよ。

1.家庭菜園で石灰を使用するのは、酸性度調整と栄養補給です

家庭菜園で石灰を使用する主な目的は、

(1) 土の酸性度調整

(2) 土への消毒、土へ栄養分の補給などです

(1)土の酸性度調整とは 

土に石灰(カルシウム)を入れ耕すことで、酸性に傾いている土を中和し、酸性度合を弱く
する。なぜならば、酸性度合が強いと、有用な微生物がすみにくくなり、根が栄養分をうまく吸収できず、生育不良をおこしてしまうからです。

酸性雨、もともと雨には酸性の成分が入っています。雨の多い日本の畑は、石灰成分
(カルシウム)や苦度成分(マグネシウム)などの養分が流れてしまい酸性になりやすいです。
それを補うべく石灰を入れ、酸性度合を弱くし、根にとって生長しやすい環境をつくる
ことが、よい野菜をつくるには欠かせない作業です。

(2)土への消毒、土に栄養分を補給する

石灰は根に欠かせないカルシウムの補給はもちろん、消石灰は消毒効果も期待できます。
苦土石灰はマグネシウム成分があり、野菜の葉の栄養分を補給ができます。

2.酸度計購入による酸度調整、そこまでの必要性はありません

酸性度の調整とは、酸度計を準備し、酸性度(pH)を測定、数値にあわせた石灰量を土に入れるのが基本です。でも、家庭菜園で測定される方は少ないと思います。

なぜならば、目安といえど酸性度はバラツキます。測定器を土に入れるだけで、いとも簡単に測定できるイメージですが、そう簡単でありません。精度をあげるには準備がめんどう、測定器は正しくても、土のサンプリング方法などで数値は変わってしまうからです。

◉ 酸性度の区分と野菜が好む酸性度の目安一覧 (数値はpH)

  • 酸性     5.0~5.5 
  • 弱酸性    5.5~6.0 ジャガイモ、サツマイモ、ニンニク、ショウガ、ラッキョウ
  • 微~弱酸性  5.5~6.5 タマネギ、キャベツ、ダイコン、ニンジン、イチゴ、コマツナ
  • 微酸性    6.0~6.5 シュンギク、ネギ、ハクサイ、レタス、エダマメ、オクラ、            カボチャ、キュウリ、スイカ、スイートコーン、ナス、トマト、 ピーマン、ササゲ、レタス、アスパラガス
  • 微酸性~中性 6.5~7.0 ホウレンソウ、エンドウ

 野菜の80%は、酸性度(pH) 5.5~6.5に集中しています。

ほぼすべての参考書は酸性度の測定を必要としています。pH0.5を石灰量で調整する、目安といえども難しいです。さらに酸性度0.5の違いが野菜に対してどれだけの影響があるのか、それを実感することはできないのが現実です。

私も酸度計を購入しましたが、めんどうで測定は止めました。「ほんとうに必要かといわれれば、そこまでは必要ない」というのが経験からした私の考えです。

なぜならば、春の開始時は消石灰で畑の消毒をし、夏野菜も秋野菜も苦土石灰で養分補給をします。石灰を手のひらですくい、軽く散布する。さほど細かい数値に気をつかう必要はありません。

何の石灰を散布するのか、一般的には春先など消毒のための消石灰を少しだけ、苦土石灰は種をまいたり、苗を植えたりする都度、マグネシウムの補給を目的として使用します。

使い方は簡単にして、あまり考えず、この程度の使い方で野菜はじゅうぶん育ちます。

3.石灰使用で知っておくべき注意点、土にまく順番が有ります

私の使用する石灰は、消石灰と苦土石灰がメインです。

家庭菜園土作り作業の順番は、石灰を散布する、堆肥を入れる、肥料を入れる、種をまく、あるいは苗を植えつけるです。作業の順番は経験値や畑の面積によって人それぞれです。

(1)最良な作業順番とは

  1. 石灰を散布しすぐに土を耕す。
    • 消石灰散布後、1ヵ月弱の間隔を於いてから、次の作業に移るのがベスト
    • 1ヵ月も間隔を空けられない場合、2週間程度でも問題は発生しないことが多い
    • 苦土石灰散布後、1週間程度間隔を空けてから次の作業に移ること
  2. 堆肥を土にすき込み耕す
    • 1週間程度間隔を空けてから次の作業に移ること
  3. 肥料を散布する
    • 散布後1週間程度間隔を空けてから次の作業に移ること
  4. 種まきや苗の植えつけをする

なぜこんなに間隔を空けるのか、いちばんの理由は石灰や肥料が土になじむ、反応が落ち着くのを待つことにあります。

ただこれだと3~4週間しないと一連の作業は終りません。とても待てない場合は、次の(2)の順番にしてください。

(2)消石灰を散布した後の作業順番とは

  • 消石灰の袋に、「施肥法:化成肥料をまく10日前に散布する」などと記載されている 場合、これを基本にしてください。目安ですので1週間程度でも大丈夫です。日数はメーカーにより異なる。

  • 1週間程度経過したら、堆肥、化成肥料などを同時にまいて耕し、畝をたててから種まきや苗の植えつけをしてください。そうすれば1週間程度で終わります。(朝方同時にまいて少し耕し、夕方に畝たてしてから種まきや苗の植えつけをしたほうが良い。日中の暑さもあり、直後でないほうがよい一面もあるので)

1週間程度の間隔を空ける理由、

消石灰と化成肥料を同時に散布して耕すと、消石灰のアルカリ成分と化成肥料のチッソ成分が反応し、アンモニアガスが生成され、野菜を枯らしてしまいます。肥料のチッソ成分も逃げてしまいます。ここがポイントです。

(3)苦度石灰を散布した後の作業順番とは

  • 苦土石灰の袋に、使い方が書いてありますので参考にしてください。
    • 例 :  元肥(もとごえ)は、植えつけ数日程度前に散布してください
    • 例 :  化成肥料などとは直接混合しないでください

休日を待っての作業や、天候不順な場合、作業は短時間で終わらせたいです。その場合下記の方法で作業してください。 

  • 苦土石灰は、散布後すぐに次の作業ができます
    • 散布後すぐに堆肥や化成肥料を土に入れ混ぜて耕し、同時に畝をつくり、種まき、苗の植えつけができます。1回の作業ですべて終わすことができます。

ほんらいは間隔を空けたほうが良いですが、アルカリ成分が弱いため、肥料などのチッソ成分と同時に散布しても問題無いといわれています。私もほとんど1回の作業です。障害は経験していませんし、周囲も同じようなやり方です。

(4)石灰と肥料を間違って同時に散布した場合

2週間程度間隔をおいてから、種まき、苗の植付けをやればよいと思います。

私は経験は無いのでよく分かりません。学者先生の明確な回答は探せませんでした。理論的には時間を空けるしかないと思います。肥料効果は落ちていますから後で追肥でカバーをするようにしたほうがよいです。

4.消石灰散布、作業手順ポイント、私のやりかた具体例

消石灰散布のポイント

(1)散布は、長袖、手袋着用、眼に入らないように保護メガネ、マスクがあればベスト。皮膚などに付着すると炎症を引き起こす可能性があり。

(2)土に散布したら、すぐに耕し、よく土に混ぜ込んで、なじませること。散布後そのままにしておくと空気や水にふれ固くなり、固くなった石灰に根がふれると枯れてしまう。

(3)消石灰だけを前もって土に入れておくこと、肥料や堆肥と同時に入れないことが最大のポイント。

(4)アルカリ分が強いので、使用量には注意が必要、少しでよい。消石灰袋の裏側に使用上の注意書きがあり、必ず確認してから使用すること

散布の作業手順概要

(1)消石灰を散布するか、しないか、野菜によって場所を決める。畑いちめん真っ白に散布する人、消石灰は強いので苦土石灰にする人、石灰は使用しない人、さまざまです。今までの経験で決めています。

  • わからない場合は、周りの畑の先輩に聞いてみることがいちばん
  • 弱酸性を好む、ジャガイモ、サトイモ、ニンニクなどには使用しない
  • 秋野菜で使用するのは、ホウレンソウぐらいですが苦土石灰でも大丈夫
  • 私は、春は土壌の殺菌、消毒みたいなものです。病気に対する抵抗力が強くなり、病気にかかりにくいといわれ、それだけで使用しています。

    2週間後、種まきや定植を予定しますが、お天気予報が小雨だったり、時間的に余裕がない場合は石灰散布はしないです。

    必ず石灰散布をしなければならないということではありません。

    私は、できる場合にやるだけです。その程度で十分です。

    (2)使用している消石灰

    • 粒状消石灰 アルカリ分 75% (田原石灰工業) 20㎏/袋 メーカーは問わない
    • 粉よりも粒状が使いやすいです。粒がそろっているので散布がしやすい、飛散防止ができ風の強い日でも散布できる
    • 袋の裏に施肥法、施肥量、使用上の注意が書いてある。施肥(せひ)とは、肥料をあたえること
    • 施肥法 化成肥料をまく10日前に散布すると記載

    (3)施肥量の目安について

    • 施肥量は、酸性の土壌 10アールあたり 150~250㎏
    • 家庭菜園では、1㎡( 縦横1㍍あたり) 150g~250gという意味
      • 250㎏×1000 = 250,000g 10アールとは、100m×100m=1,000㎡
      • 250,000g ÷ 1000㎡ = 250g

    ◉施肥量の目安、私の畑では、1㎡あたり150g程度を散布します

    実際には石灰を散布桶やショルダーバケツなどに入れ、歩きながらまいていきます。あくまでも目安、神経質にならなくて大丈夫です。

    石灰は手袋やゴム手袋をして、手のひらでバケツから石灰をすくう感じで、そのまま上からばらまきます。勢いよくばらまいてください。余計な心配は無用です

    • 男性の目安は、2歩ぐらい歩くうちに、2~3回すくってばらまくと、150g/㎡程度です。(男性の1mは2歩程度、ひとすくいは、おおよそ50~70gです)
    • 女性の目安は 3~4回すくってばらまいてください。みた目は意外と少ないようですが、だいじょうぶです足りないと思って足さないことです。(つかんでばらまいてもよいですが、つかむと量が減ります)

    (4)散布後、石灰を土に混ぜ込み耕してください

    • まきっぱなしにしないこと。散布したら速やかに耕してください。そのまましておくと固くなりガスが逃げます。混ぜ方は、散布がすべて終了してから、一括でよいです。

    (5)散布後10日程度間隔を空けてから、堆肥や化成肥料を土に入れてください。

    1m×1m、2ヶ所、150~200g/ヶ所

    5.苦土石灰散布、作業手順ポイント、私のやりかた具体例

    苦土石灰散布のポイント

    (1)消石灰よりもアルカリ性は弱いですが、散布には、長袖、手袋着用、眼に入らないよう 保護メガネ、マスクがあればベスト。 

    (2)消石灰との違いは、苦度石灰を散布後、堆肥のすき込み、化成肥料の散布など、同時に行うことができます。天候や時間的余裕が無い場合は、すべて一緒に混ぜて、1回で土作りをおこない、種まきや苗の植付けも同時にできることが特徴です。

    (3)一緒に混ぜるのがどうしても気になれば、散布後1週間程度間隔を空けてから、種まき、苗の植付けをおこなえば万全といえます。私の経験では、すべて同時に作業をしても、特に問題はないです。私の周囲でも皆さんやっています。

    (4)アルカリ成分は消石灰より弱く、ゆっくりと酸性土壌を中和するので障害はないです。 野菜の光合成に必要な葉緑素をつくる、重要成分としてのマグネシウム補給として 使用されることが多いです。

    散布の作業手順概要

    (1)苦土石灰を散布するか、しないか、野菜によって場所を決めてください

    • 春野菜は、ナスやトウモロコシの他、一部の野菜に使用しています
    • 秋野菜のすべてに使用しています。ホウレンソウにもまいてます。

    (2)使用する苦度石灰

    • つぶ状苦度石灰 アルカリ分 55% (東洋砿業) 20㎏/袋 メーカーは問いません。粉よりも粒状が使いやすいです。粒がそろっているので散布がしやすい、飛散防止ができ風の強い日でも散布できます
    • 袋に使い方が書いてありますので参考にしてください、記載例としてて、
      • 元肥(もとごえ)は、植えつけ数日程度前に散布してください
      • 施肥量 一般、田、畑 10アールあたり120~160㎏ (1㎡あたり 120~160g)
      • 化成肥料などとは直接混合しないでください。

    (3)施肥量の目安について

    • 袋の記載量は、1㎡あたり120~160gと記載されてます
    • 種袋の裏側に、苦土石灰の使用量が表記されているものが多いですので、チェックしてください
    • 秋の葉物、根菜類は100g~150gの表記が多いです。
    • 量は多くてもさほど問題にはならないので、私は150gを目安に散布しています。

    • 野菜の種類によって散布量を変えるのは不要です。すべて同量です
    • 男性の目安は、2歩ぐらい歩くうちに、2~3回すくってばらまくと、150g/㎡程度です。(男性の1mは2歩程度、ひとすくいは、おおよそ50~70gです)
    • 女性の目安は 3~4回すくってばらまいてください。みた目は意外と少ないようですが、だいじょうぶです。(つかんでばらまいてもよいですが、つかむと量が減ります)
    • 手袋をして、手のひらでバケツから苦度石灰をすくう感じで、そのまま上からばらまきます。量は多くなっても心配は不要です。

    (4)散布後、土に混ぜ込み耕してください

    (5)苦土石灰、堆肥、化成肥料と同時に散布し、すぐに畝をたて、種まき、苗の植えつけをします。

    6.まとめ

    • 石灰は、「野菜を植える前にとりあえずまいておこう」とか、せいぜい「土が酸性だとまずいのでとりあえず散布しておこう」、皆さんこんな感じで散布しています。こんな感じでも、石灰の散布の目的は十分果たしています。
    • 石灰は、根の生長や、葉の生長に欠かせないカルウシム(石灰)やマグネシウム(苦度)成分を含み、おいしい立派な野菜を育てるうえで必要な要素です。
    • 石灰は強いので使用しない人も多いです。でも、消石灰のまきすぎに注意するぐらいで、あとは大丈夫です。

    • 使用上の注意は、消石灰散布後はできるだけ日数を空けてから次の作業に移ることできれば10日~14日間程度理由は、アルカリ分が60%以上と強いから。他にも生石灰は80%以上なので使用量に注意。
    • 苦土石灰は、堆肥や化学肥料といっしょに同時に散布作業、 直後に種まきや苗の定植ができること。理由は、アルカリ分が53%程度と弱いので安心して使用できます。

    このへんを押さえていただき、野菜の葉が緑色にて光合成が活発化し、大きく美味しい野菜を収穫することができますので、この記事を参考にしていただき、ぜひ散布を。

    訪問いただきありがとうございました。

最新の記事